Identity XV - curated by Meruro Washida -

Identity XV - curated by Meruro Washida -

2019 5.23-6.29

レセプション:5月23日(木)18:00 – 20:00
*オープニングトーク (鷲田めるろ氏): 5月23日(木)19:00 ~ 約30分

©Nozomi Tomoeda
Press Release

会場:nca | nichido contemporary art
会期:2019年5月23日(木)-6月29日(土)
営業時間:火 – 土 11:00 – 19:00 (日・月・祝 休廊)
出展アーティスト: ジェームズ・ジャック | 澤田 華 | 友枝 望
キュレーター: 鷲田 めるろ
レセプション:5月23日(木)18:00 – 20:00
*オープニングトーク (鷲田めるろ氏): 5月23日(木)19:00 ~ 約30分

この度、nca | nichido contemporary artは、Identity XV - curated by Meruro Washida –展を開催いたします。毎年ゲストキュレーターを迎え、さまざまな視点から”Identity”というテーマについて考察する同展、今年は8月に開催されるあいちトリエンナーレのキュレーター、また2017年第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館のキュレーションを務めた鷲田めるろ氏に企画をお願いしました。


Identity展によせて

カタカナの「アイデンティティ」は「自己同一性」を意味します。ところがこの展覧会シリーズはローマ字で「Identity」と表記しています。英語で「Identity」は「何かと何かが同じであること」と、より広い語義を持っています。
友枝望は、コップやカメラなどグローバル企業による同じ型の製品を2つ並べて比較するシリーズを制作しています。二つは一見全く同一に見えますが、よく見ると「Made in Germany」「Made in Singapore」など異なる生産国が表記されています。作品自体は極めてミニマルですが、製品の同一性を問うことから、製品のモジュール化、グローバル・バリュー・チェーンによる生産、そして、世界の生活様式の同一化まで、現代社会の課題を広く問いかける作品です。
澤田華は、モダンデザインの本に掲載された庭のランプの写真に、何かよくわからない物体が写り込んでいることに着目します。この物体のアイデンティティを執拗に、過剰に調べるプロセスを作品化しています。最終的にそれが何であるかは明らかにならないのですが、それによって逆に「それが何であるか」を問い続けなければ気が済まない、意味を求めてしまう人の欲望を露わにしています。
ジェームズ・ジャックはアメリカ合衆国の生まれですが、長く日本に住み、現在はシンガポールで作品を制作しています。今回展示する作品は、南太平洋の植物をモチーフにしたドローイングです。歴史を細かく見てゆくと、人の移動に伴って様々な植物の移動があったことが分かります。移動した植物を日本の帝国主義的な南方進出に伴って植物の調査と標本の収集を行った学者、金平亮三の植物画を参照しながら描いています。移動しながら作品を制作する自らのアイデンティティと、移動する植物の歴史を、ポストコロニアルな視点で重ね合わせる作品です。
三人の作品は、表現手段はそれぞれ異なりますが、グローバル化した情報社会におけるIdentityについて考えさせます。

鷲田めるろ


鷲田 めるろ Meruro Washida 
1973年京都市生まれ、金沢市在住。東京大学大学院修士(文学)修了。1999年から2018年まで金沢21世紀美術館キュレーター。第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館キュレーター(2017年)。あいちトリエンナーレ2019キュレーター。瀬戸内国際芸術祭2019アーティスト選考アドバイザリーボード委員。的|芸術中心(北京)学術委員。金沢美術工芸大学客員教授。

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