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The Right Way2026.3.7 - 4.18Upcoming:3/7~ |
| ©Lucas Blalock |
会場:nca | nichido contemporary art
会期:2026年3月7日(土)~ 4月18日(土)営業時間:火 – 土 11:00 – 19:00 (日・月・祝日休廊)
オープニングレセプション:3月7日(土)17:00 ~ 19:00
作家:ブスイ・アジョウ Busui Ajaw / ルーカス・ブレイロック Lucas Blalock / マルセル・ザマ Marcel Dzama / ガーダー・アイダ・アイナーソン Gardar Eide Einarsson / ジャスティン・スミス Justine Smith / タワン・ワトゥヤ Tawan Wattuya
(特別展示:藤田嗣治 Leonard Tsuguharu Foujita)
nca | nichido contemporary art はブスイ・アジョウ、ルーカス・ブレイロック、マルセル・ザマ、ガーダー・アイダ・アイナーソン、ジャスティン・スミス、タワン・ワトゥヤによるグループ展、「Right way」を開催いたします。本展は、物事を見る方向を誘導し、物語や歴史が語られることが主流の慣習的な概念へ挑みます。視覚言語の標準的なアプローチからの脱却、長い間見過ごされてきた見えない声、また表面下に潜む政治的・経済的・社会的な含意を明らかにしとうとする上記アーティストの試みを通して、我々に多角的な視点から物事を見つめるよう促し、正義とは何かを再考する手段、あるいはその概念そのものの存在を問い直します。
ブスイ・アジョウの芸術的実践は、東南アジア高地の少数民族であるアカ族の一員としてのアイデンティティに深く根ざしており、伝統と慣習を基に見えるものと見えないもの、物質と精神の間の隔たりを埋める表現豊かな視覚言語を発展させてきました。近年、アジョウはアカ族の一員として、一人の母として民族の歴史、現代社会におけるさまざまな課題や問題を自身の体験を織り交ぜながら絵画で表現しています。それはアイデンティ、国家、国境…我々が認識していた事柄を問い直す機会を与えます。
ルーカス・ブレイロックは作品の中に感情的に没入することなく、観客が客観的に自分自身を見つめることを促す演出を追求し、舞台の裏側の労働をも舞台上に持ち込んだ劇作家で詩人のベルトルト・ブレヒトに影響を受け、大判カメラで撮影したイメージをデジタルで加工、描写し、その過程をも意図的に表面に示します。不器用な加工によってあらわれるシュールかつ滑稽なイメージは、視点によってかたちを変える不思議な感覚を与え、私たちに多角的な思考を促します。「描くこと、写真を創ることは世界を理解する一つの方法である」と捉えるブレイロックはデジタル化された写真の構造、その媒体の限界と内在する矛盾を追求しながら急速に進化するテクノロジーと向き合います。
マルセル・ザマのドローイングには人間、動物、そしてハイブリッドな生き物が共存するシュルレアリスム的な世界が生き生きと描かれ、自身のスケッチブックをそのまま切り取られたかのように自由に、かつ落ち着きのある豊かな色彩で表現しています。これらのイメージはザマがこれまでに影響を受けたコミックや芸術作品、民話や神話などを基にしながら、政治、反逆、不条理といった今抱える社会的問題をユーモアに包みながら独自の世界を創造します。
ガーダー・アイダ・アイナーソンは絵画、彫刻、コラージュ、シルクスクリーン、インスタレーションなど、多岐にわたる表現によって、現代社会に存在する複雑な関係性と権力構造、そしてそれらが社会的・政治的・経済的バランスに及ぼす影響を探求してきました。アイナーソンが主に用いる駄洒落や言葉遊び、文脈から切り離された視覚的記号やシンボルは、文化や歴史といった根本的要素とその相互作用を鋭く分析し、社会構造に対するユーモアに満ちた視座を体現しています。このアプローチを通じて、アイナーソンは、私たちの日常の下に潜む普遍的な恐怖や葛藤、見過ごされがちなより複雑で多層的な現実を明らかにしようとしています。
ジャスティン・スミスの作品において、お金は常に主要な素材です。彼女の関心を引くのは、お金が体現する多層的な現実であり、それは私たちの生活のほぼあらゆる側面に触れています。物理的には単なる紙切れに過ぎないもののその含意、力、資本主義社会における政策問題に影響を与え変容させる能力、お金が象徴するものは極めて核心的なものです。銃や弾丸、軍事兵器、政治家のイメージを取り入れることで、スミスは暴力や紛争の背後に潜むお金との関係性、その価値体系を問い直します。紙幣を巧みに操り、表現される作品群はお金の魅惑的な力と、それが引き起こす道徳的ジレンマの双方を象徴するメタファーとなっています。
タワン・ワトゥヤの描くポートレートや動物は、独特なアプローチと示唆に富む水彩画で知られています。本展では2020年から現在進行形で制作を続けている「マネー/紙幣」シリーズから抜粋した作品群を発表します。世界各国の紙幣を大きな水彩画で再現したこれらの作品は、それぞれが原通貨の特有の細部を忠実に保ちつつ、水彩画特有の流動性によってそれは新たなイメージへと変換されます。曖昧にぼやけ、にじんだ表現は、紙幣が単なる紙と見なされ本来の価値を失いつつある現代世界の変容を映し出しています。また、紙幣に個人的な落書きやメモ書きをも再現したこれらの作品は、個々人の小さな物語、声も聞こえてくるようです。ワトゥヤは各国の異なるアイデンティティを浮き彫りにするとともに、紛争や自然災害、インフレ、不安定な世界経済情勢の背後にある様々な問題を多角的視点から提示します。