ミロヴァン・マルコヴィッチ -Prototype Tokyo-

ミロヴァン・マルコヴィッチ -Prototype Tokyo-

2005 08.15 - 08.31

Press Release

nca | nichido contemporary artは「日本におけるドイツ年」のエデュケーショナル・プログラムの一環として、ミロヴァン・マルコヴィッチ(ベルリン在住)の新作インスタレーションを発表します。同時に、1988年から1998年に収録されたホロコーストの生存者や証言者によるインタビュー「ボイス・オブ・ザ・ショア」をサウンドインスタレーションとして流します。本展覧会は、国境を越え現代社会に共通して存在する人間の本質的な問題をメッセージとして発信し、日本とドイツのより深い文化交流を目的とします。


作家略歴
旧ユーゴスラビア、ベオグラード出身。1983年、ベオグラード芸術大学において絵画で修士号を取得。セルビアの修道院で聖像とフレスコ画法も学ぶ。国内で数々の個展を開催後、1986年にベルリンへ移住。その後、様々なパブリックプロジェクトを世界主要都市で開催。1991年、ニューヨークのPS1ギャラリーで作品「Prototypes」を発表。1995年にはイスタンブールとベニスビエンナーレにおいても作品を出展。2002年、熊本市現代美術館の開館記念展「Attitude 2002」でのグループ展に招待され初来日。2003年と2004年には「Homeless Project」をそれぞれベオグラードとベルリンで発表。

後援:ドイツ大使館/東京ドイツ文化センター
協力:ノトウィッツ・ビデオ・プロダクション
   リノ・エンターテイメント
協賛:東京濾器株式会社  http://www.roki.co.jp

http://www.markovic.org
http://www.notowitz.com

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Milovan Markovic
"PROTOTYPE TOKYO"

終戦後60年を経たいま、第二次大戦時のナチス・ドイツによる大量虐殺をもたらしたホロコーストは人間の歴史上における過去の忌まわしい出来事の一つとして、現代社会に生きる私たちの記憶から忘れ去られようとしている。

2005年は「日本におけるドイツ年」にあたり、今回nichido contemporary artでは、これまで取り上げられてきた、一側面からみた学究的な検証や、情報としてまとめたドキュメンタリーとしてではなく、人間存在の本質的な問いかけをコンセプトに、ベルリン在住のミロヴァン・マルコヴィッチによる新作インスタレーションを展示発表する。

旧ユーゴスラビア出身のマルコヴィッチは、これまでにもさまざまな国籍や人種問題、社会におけるマイノリティ(ホームレスや難民)といった現代社会のイデオロギーやシステムから葬られようとしている人間の共通存在をテーマに、現代社会における問題提起としてこれまでにヨーロッパの主要各都市における国家プロジェクトで作品を発表している。

彼は、旧ユーゴスラビアの内戦によって生活を破壊され、今となっては目にすることのできない戦争被害者たちの声を取り上げ、これまでにベニスビエンナーレ(1995年)、イスタンブールビエンナーレ(1995年)をはじめ、ヨーロッパ、アジア、アメリカ各地でインスタレーションを発表している。2003年には「ホームレス ベオグラード 2003」というプロジェクトを発表し、12人のホームレスに対するインタビューを行い、市内のビル壁面にホームレスの語った言葉と国籍の持つカラーのみで綴られたポートレートを社会に提示した。

同時に、"ホロコースト" を生き抜いた180以上に及ぶ人々の声を編纂した記録録音"VOICES OF THE SHOAH"(制作ノトウィッツ・プロダクション)をインスタレーションと共に発表する。これは、多くの情報が飛び交いすべてが消費され、過去が歴史認識の一部として閉じられようとしている現代社会の中で、生存者の記憶に今もなお息づく声を、厳然たる一つの真実として録音された記録である。これまでの歴史において、人間が生み出してきた利己主義は、矛盾や多くの葛藤、対立を生み出し、時を経て今もなお、(私たちを取り巻く世界-アメリカをはじめ、アジア、ヨーロッパの先進諸国-)未だ人間の本質的な論議が為されず、さまざまな問題がかたちを変えて起こり続けている。このプロジェクトは、日本とアジア、ひいては西欧諸国との関係や繋がりをあらためて見直し、パワーバランスが引き起こす軋轢からはなにも生み出されない現実を、アートと人間存在を訴える生の声を通じて展示発表するものである。「日本におけるドイツ年」のエデュケーションプログラムの一環として、失われようとしている過去と現在を取り戻し、アートによる社会的メッセージをこれからの未来へと伝えるものである。

nca ディレクター 竹田

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